小樽 坂牛邸
小樽市入船5丁目8-15
施工:丸藤留治

小樽新聞社重役であった坂牛直太郎邸として1927年夏着工、同年12月5日に竣工した住宅で、工費は家具別で8,000円であった。
住宅は、小樽花園公園の南側の白樺林に面した角地に建ち、L型平面の交点部に2階を配置し、1階では八角形の5辺を張り出した応接間を突出させている。
薄緑色の横羽目目板打ちの腰壁と白漆喰壁との対比や軒の深い屋根が、1920年代の住宅に共通する田上特有の低く抑えた外観に効果を上げている。
竣工時、夫婦・両親・子供5人・女中という大家族であったが、各人の個性を尊重しつつも相互の自由な関連を考慮した平面は、玄関階ホールを中心に、西側に応接・書斎、北側に舎弟、女中室、風呂、台所、東側に居間をかねた食堂、縁側をまわした老人室(10畳)を置き、南側翼部に子供の領域をまとめ、子供勉強室、同運動室、寝室を配置していた。子供室の東、庭側に設けられたテラスは、勉強室から直接出入りでき、庭との関連を強く意識していた。
八角形の応接間のソファーは造り付けであり、また北側の窓には植物モチーフのガラス絵もわずかながら遺存する。書斎にあった重厚な机や椅子、置台なども田上のデザインが残されている。
動線に留意したホールや階段周りのスペースは、ゆったりととられており、このゆとりは他の住宅作品でも同様に見られ、田上らしい空間表現の一つである。
住宅の南隣りの敷地にあり、2009年に解体された住宅は、坂牛夫人の母堂上田寿久の住宅で、1928年にやはり田上の設計で完成したものであった。坂牛邸とは庭続きで、子供の何人かも、こちらの住宅に移り住んだという。竣工を記念して門柱脇の煉瓦塀土台に「Build.1928 AD T.Yoshiya」のサインが残されている。
北海道大学大学院工学研究科 建築史意匠学研究室 教授 角幸博氏
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● 坂牛邸 一般公開開始映像 : 2010年2月13日
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● 坂牛邸 平面図
| クリックで拡大表示 | 坂牛邸 1階平面図 | 坂牛邸 2階平面図 |
| 図面提供 : 北海道職業能力開発大学校 建築科 駒木ゼミ 学生:橋本憲幸 |


